【ラボ】蒸留をやってみた
前回、シロップを作ってみたという実験を行いましたが、その過程で「蒸留」も自分たちでできるのでは?という話になり、調べてみるとどうやら可能っぽいことがわかりました。そうなると、まずは「やってみる」がモットーのFUNTESTですから(笑)、今度は「蒸留」を実験してみることにしました!
蒸留とは / 蒸留酒とは
そもそも蒸留とはなにかと言うと、辞書で調べると「液体を熱することで蒸発していった気体を冷やして再び液体にすること」と出てきます。よく「蒸留酒」なんて言われますが、蒸留という方法がお酒を造るのに使われるのは、アルコールは水よりも沸点が高いために水よりも早く蒸発し、そして冷やされて液体に戻されるため、より純度の高いアルコールが抽出されるからです。お酒を蒸発させて、また冷やして純度高く抽出したものを「蒸留酒」というわけですね。
巷で売っている「蒸留酒」のなかで、例えばブランデーはワインを蒸留させたものですし、ウイスキーはビールを蒸留させたものです。(たいぶざっくりですが)「熱して冷やすだけ」なら自分たちもできそうだから、ウイスキーとか作れちゃうんじゃないの?となりますが、残念ながらそれは違法です。
しかし逆に言えば、アルコールが含まれていなければOKです。実際に、ノンアルコールのジンなどは世界でも日本でも作られ始めています。今回の実験で、FUNTESTオリジナルのノンアルコール蒸留ドリンクを作れるかもしれません。そしてそれがめちゃめちゃ美味しいかもしれません。どうしよう、バカ売れして大金持ちになっちゃう!
というわけで、さっそく準備してみました。
蒸留の準備
蒸留ドリンクを作るために、まずは香りづけをした水を入れる鍋、そして蒸気を集めて液体を溜めておくための耐熱容器、その耐熱容器が温まりすぎないようにカバーするアルミを用意します。これにフタを逆さにしてのせて水を沸騰させれば、フタに蒸気がつき、それが垂れて耐熱容器に蒸留された液体が溜まるという単純な仕掛けです。
そして何を蒸留しようかな、と考えながら仲間とスーパーを巡り、買ってきたのがこちら。
さっそくこれらを順番に鍋に入れて水につけ、沸騰させて蒸留にチャレンジです!果たして家庭で蒸留ドリンクを作ることはできるのか?!
蒸留実験(1)スペアミント
まずは、一番無難で美味しくなりそうな「スペアミント」からいってみたいと思います。これで失敗したらもうこの先希望がない。なんとかうまくいって欲しい。
想定通り、ちゃんとフタに蒸気がつき、それが冷やされて水滴がついているのが分かります。しかし、単純にフタを逆さにしただけでは鍋との間に隙間があり、蒸気がそこから漏れてしまう。手でグッと押さえても漏れてしまいますが、それでもある程度の量は真ん中の耐熱容器に溜まってきました。
無事、スペアミントの蒸留液が完成!においを嗅いでみると、しっかりスペアミントの爽やかな香りがする、が、すでに室内がすごいスペアミントの香りで充満してしまっているので、ほんとにこの液体から香っているのか、もはや自信はない。自信はないが、さっそく炭酸水に混ぜて飲んでみた。
こ、これは…!う、うま…くない…?(笑)
いや、まずいわけではないんですが、美味しくもないというか。うっすらとミントの香りがする水、という感じで、はっきり言ってリアクションに困るレベル。スペアミントでこれなら、この先どうなるの…?と、一緒にやっている仲間との間に不穏な気配がよぎる。そんな感じの味でした。
いやしかし、まだまだどうなるかわからない。次の実験はこちら!
蒸留実験(2)スカボローフェア
みなさんはサイモン&ガーファンクルの「スカボローフェア」という歌をご存知だろうか。その中に、「パ~セリ~セ~ジ ロ~ズメ~リ & タ~イム~」という歌詞がある。僕はずっと「セージとタイムってなんだろう」と思っていたが、今回たまたまハーブを見て回っていてこれを見つけて思わず「あ!サイモンとガーファンクルだ!」と叫んでしまった。味も香りも全く知らないが、「これでスカボローフェアドリンクを作るんだ!」と1人で盛り上がってしまい、4つセットで買ってしまったのだ。完全に僕一人の趣味で申し訳ない。
こちらも同じように抽出して飲んでみる。きっとサイモンとガーファンクルを彷彿とさせる、郷愁を誘う味がするはず…!と期待したのですが、これはもう完全に「単に草のにおいがする水」だった。おそらくローズマリーの香りが一番強く残っていそうだが、とはいえただの草水であることに変わりはない。全然サイモンとガーファンクルの味がしない。サイモンとガーファンクルの味ってのがなんなのかは僕も分かりませんが。
蒸留実験(3)山椒
懸命な読者の方はお気づきの方もおられると思いますが、すでにもう絶望感しかない状態になっています。蒸留ドリンク、全然美味しくない。いや、しかしまだ諦めるわけにはいかない。僕たちには最後の砦、こいつが残っている!
そう、山椒です。ちょっと方向性を変え「ピリッとしたやつが欲しいね」と思って買ったこれ。これなら、これまで「あれ、これ単なる草っぽい水…?」という空気を変えてくれるはず!最後の期待を山椒に込めて、いざ蒸留!この段階にくるとこちらも段々慣れてきて、手際よく蒸留ができるようになってきています。どこにも活かせないスキルをどんどん身に付けちゃってる。
そして山椒蒸留水が出来上がりました。が、またうっすい味だったらどうしよう、という不安があったので、なんとそこに山椒の実を入れてみるという暴挙に出ました。もはや蒸留関係なくない?という気もしますが、この段階ではすでに「うすくて草っぽい水、もう飲みたくない」という気持ちでいっぱいでした。
これで間違いなくピリッとしまった味になっている…はず…!しかし、あれ…?
いや、確かに山椒のピリッとした感じは出てるんだけど、なんだろ、だから何 という感じ…?(笑) 少なくとも、最初に思い描いていた「バカ売れのノンアルコールドリンク」には全くたどり着けそうにない味のものが出来上がりました。こんなはずでは…!
実験を終えて
今回の実験では、正直なところ全然美味しいものを作ることができなかった。やっぱりプロはすごいのだなぁと実感しました。全体として「なんか薄い味のする草っぽい水」ばかりになってしまったが、おそらくフタがしっかり密閉できておらず、蒸気が抜けてしまっていたことが原因ではなかったかと思う。あの蒸気がいわゆる一番搾りというか、香りが凝縮されていたものであり、それを逃していたので、薄いものになってしまったのではないかと思います。
つまり、「美味しいものを作る」という観点で見ると今回の実験は大失敗と言えますが、やっている時はものすごく楽しかったので、気持ちとしては大成功です。決して負け惜しみじゃないです。違いますからね!(笑)