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【ラボ】下戸なのに、国際唎酒師の資格を取ってみた

先日「国際唎酒師」なる資格の試験を受けてきました。受けるときに色々ネットを調べたけどなかなか情報が集まらなかったのと、記録として整理しておきたいので、経緯や勉強方法、試験内容、感じたことなどをまとめておこうと思います。

なんで国際唎酒師の資格を取ろうと思ったか

僕は下戸です。どれくらいかというと、コップ半分のビールでフラフラになり、一杯飲むと身体の節々が痛くなり、それを超えるとトイレから出られなくなるレベルです。

そんな僕がなぜこんな資格を受けようと思ったかと言うと、仕事柄外国人と飲みに行く機会がちょくちょくあるのですが、結構日本酒の話で盛り上がったりします。これまで僕はその話題に全く参加できなかったけど、「別に下戸でもお酒に詳しくてもいいよな」「日本酒に詳しいと話題の提供ができるようになるな」と思ったこと。あと単純に「下戸なのに唎酒師」というのは面白いな、と思ったことです。(笑)

それで「唎酒師」について調べてみたら、なんと資格を取るのに10万円以上かかることが分かりました。ちょっと軽い気持ちで手を出せる金額ではないので、諦めて心の奥にしまっていました。

その数ヶ月後に、たまたま友達と話していたら「国際唎酒師の資格を受けるつもり」という話が出てきて、「なにそれ?」と飛びつきました。その友達はインバウンドの案内士を目指していて、その一環で日本酒の説明を英語でできるようになれたらいいと思っていたそうだ。なんと、そんなものがあったのか。

外国人に日本酒を説明できるように、という目的を考えるなら、国際唎酒師の方が理にかなっている。しかも唎酒師よりもはるかに安い。まさに渡りに船、この出会いは飛び乗っておくべき!と僕の勘が告げる。

ということで僕も便乗させてもらい、試験まであと2ヶ月しかないタイミングだったが、友人3人で一緒に受けることにしました。

試験勉強方法

独学の方法としては大きく以下の3つがあります。順に解説していきたいと思います。

  1. 教科書を読む
  2. 過去問をやる
  3. ティスティングの練習をする

① 教科書を読む

公式の教科書があるのでそれを買い、その教科書をひたすら読んで試験に備える、というものです。教科書も公式でオンライン販売していて、メルカリでも売っていたので、自分でなんとか手に入れて読むしかありません。

また、テキストも日本語版と英語版があります。試験自体は英語なので、ある程度はこの界隈の英単語に慣れておかないといけないのですが、そもそも日本語でも慣れのない世界の話なので、それを英語で読むとまぁ理解が難しいです。これは当然本人の英語の読解力によるのだろうけど、僕には難しかったので、僕は日本語のテキストも買って、そちらで大枠を理解してから英語版を読んで単語と意味を紐付ける、という勉強の仕方をしていました。

② 過去問をやる

過去問題が一部だけ公式サイトに載っているので、それをやれば問題の形式を理解することができます。先にこれをやってから教科書を読んだ方が、読み込むポイントがつかめると思います。ただ残念なことに、答えが載っていないので、答えは教科書を読んで自分で探すしかないです。ちょっと面倒くさい。
https://intl-kikisakeshi.jp/become/range/

③ ティスティングの練習をする

これはもちろん単に飲むだけでもなければ、銘柄を当てるというものでもありません。試験では、「味をどう分類し、どう表現するのか」ということを問われますので、まずは教科書を読んでその点を理解した上で練習した方が効率的だと思います。

つまりこれらを合わせると、勉強の順番は
過去問題 → 教科書読み込み → ティスティング→過去問題
が1番効率的な勉強法だと言えます。

勉強する項目

ちなみに教科書にはどんな項目が載っているかというと、以下の8項目があります。

  1. Requirements for Success as an International Kikisake-shi
  2. Alcoholic Beverages: The Basics
  3. Sake History
  4. Ingredients of Sake
  5. How Sake is Made
  6. Sake Tasting
  7. Serving Sake
  8. Sake Labels

「唎酒師」と言うと、日本酒を飲んで銘柄を当てる…みたいなイメージがあると思いますが、実際のテストは知識を問うものが大半です。日本酒の基礎、歴史、原料、作り方、ティスティングの仕方、サーブの仕方、酒のラベルなど、日本酒にまつわる多様な知識を学ぶ必要があります。

また、ティスティングは2種類のお酒を飲み、それを「爽酒、薫酒、醇酒、熟酒」の4つのカテゴリーのうちのどれか分類し、その味や口当たりなどを表現する、というものです。銘柄を当てるなんてことはしません。その点はちょっと意外でした。

試験会場・実際の試験

試験は普通の貸会議室のようなところで行われました。主催のSSS International は国際唎酒師だけでなく、唎酒師、焼酎唎酒師、酒匠、ビールマイスター、などなど様々な資格試験を行う団体であり、それらを全部一緒に同じ会場でやるということにしていたようです。(これは大阪がそうだっただけかもしれません)なので全体としては30人くらいいたかも知れません。そのうち国際唎酒師を受験するのは4名だけ(うち3名は仲間)でした。

試験問題は大半が選択式であり、数問だけ記述式の問題があります。試験用紙には点数配分も書いてあるので、どの問題を最初に取り組むか、などの作戦を立てるのもよいと思う。(第1,2パートはほぼ全ての問題が1,2点なので気にしなくてもよいかもだが、第3パートは10点配分の問題などもあるので、一応気にした方がいいです)

実際に試験を受けてみてまず驚いたのは、公式サイトに載っている「過去問題」がそっくりそのまま出てきたこと。なので過去問題をきっちり押さえていれば、それだけで半分弱くらい点は取れるんじゃないかと思います。

あと問題数がけっこう多いので、サクサクと問いていく必要があります。難易度はさほど高くなく、教科書を読んでいれば答えられるものばかり、要は単なる記憶力テストです。なので思考力とかは全然必要なく、勉強さえすれば誰でもできるし、逆に言えば勉強しないとたぶん受からない。普通に知っている知識ではないからです。

個人的に一番困ったのは、ティスティングの際の「味の表現」です。香りや味の表現について、「アーモンド」の香りがする、など、他のものを提示して表現するやり方があり、これがかなり難しかった。教科書に載ってはいたのだが数も多いし、まぁ覚えなくても大丈夫だろうと思っていたので、ここは完全に落としてしまったと思う。

配点が高かったのは「提案」のところ。こういう客がきたと仮定して、あなたは誰の立場でどんな日本酒と料理を提供するか、というものです。相手がどんな人か、季節は何か、みたいなことは勝手にこちら側で前提を立てて、その前提で考えるとこれが望ましい…という文章を英語で書かなければならない。これはちょっと慣れが必要な問題だと思いますが、これも過去問にあるので、過去問をちゃんとやっていればシミュレーションはできているはずなので、ちゃんとやっておいた方がよいです。

合否の連絡

合否の連絡は、試験の約2週間後にメールで送られてきます。採点結果のPDFを添付してくれるため、それぞれのパートで何点くらいだったかが分かるようになっている。合格者には、希望で唎酒師の証明となるバッチを送付してくれます。(有料)

試験の説明としてはこんなところです。

前述の通り、勉強さえすれば誰でも取れちゃうレベルなので、興味がある人はぜひチャレンジしてみてもらいたいと思います。

感想・今後の展開

これで僕は晴れて「国際唎酒師(下戸)」を名乗ることができるようになりました。それはそれで嬉しいのですが、今回の体験を通じて一番嬉しかったことは、「自分自身が日本酒を楽しめるようになった」という点です。

これまで正直に言うと、日本酒とは「味もキツく、臭いも強烈で、アルコール度数が高い」ものだと思っていて、飲みたいと思ったことがありませんでした。実際、過去に飲んだことがあるものはそういうものだったし、あまり美味しいと思うことはなかったです。

しかし勉強する中で、日本酒にもいくつかのカテゴリがあることを知り、それによっては僕でも楽しんで飲める(正確には「舐められる」程度だが(笑))日本酒があるということを知りました。僕の場合は、爽酒か薫酒なら楽しめることが分かり、そして夢だった「温泉で日本酒」を楽しむことができて、それがたいへん嬉しかったです。

ラグビー観戦も「詳しい人に教えてもらいながら観たら楽しかった」という人が非常に多かったという。それと同じで、ちゃんとしたガイドと知識を得て取り組めば、もっと色んなことについても楽しくできちゃうんじゃないだろうか、という可能性も感じた体験だった。

今後は、せっかく知識を得たのでどこかで活かせたらいいなぁと思っているのですが、実際のところ、知識があることと、それを相手が楽しんで聞けるような話にして提供できることとは全然違うと思います。

なので、実際に説明する機会を見つけて、ある程度話の組み立てをして実践に臨んでみたいなぁ、とは思うのですが、それはそれで準備がめんどくさいなぁ、と思うこの頃です。でもせっかく取得したので、どこかで活かせられるようにしたいと思います。

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